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保険診療に収載されたCAD/CAMインレーの臨床

医療法人社団スターティス
マイスター春日歯科クリニック
理事長 遠山敏成
院長 竹越尚正

【はじめに】
日本の保険診療においていよいよIOSの導入が決まり、まずはCAD/CAMインレーから適応が始まる。当院では兼ねてよりIOSを導入しており日常の自費診療のスキャンは数多くこなしているが、今回はCAD/CAMインレーを最新のIOSであるSHINING3D DENTALのAoralscan3を用いて行った症例を紹介する。

【支台歯形成とスキャン】
メタルインレー下のカリエスを除去し支台歯形成を行いAoralscan3にてスキャンを行った。Aoralscan3は色の再現性や光の反射など、高精度に表現されるため口腔内の情報をリアルに認識しやすい。また口腔内写真や肉眼では判別しづらい歯質とコンポジットレジンの境目も認識しやすいため、CAD/CAMインレーの深い部分でのマージン設定も歯科医師が計画しやすい。さらに従来からある機能ではあるが、色の変更によりモノクロにすることで単純な凹凸が見やすく、咬合面の隆線のマージン設定も容易である。また形成のクリアランスをその場で見ることができるので、足りない場合は即座に再形成を行うことができる。

【CAD/CAMインレーという選択】
今回は小臼歯に使用されるCAD /CAM冠用材料(Ⅱ)を用いてCAD/CAMインレーの削り出しを技工所にて行った。CAD /CAM冠用材料(Ⅱ)は大臼歯用のものと比べて強度は落ちるものの光透過度に比較的優れるため、ある程度審美性において有利に働く。長年小臼歯のインレーにはメタルが用いられてきたが、2022年よりCAD/CAMインレーが保険導入された。メタルに関しては修復物そのものには問題はないが、昨今の金属代の高騰と歯科技工士数の大幅な減少に伴って見直されるようになってきた。メタル修復のようなアナログで製作されるものよりミリングマシンで機械生産されるものの方が、国民の医療として広く提供されるものとしては適していると筆者らも感じている。ただしその強度の問題からメタルよりも歯質の切削は多くなる傾向にあるため、症例によっては直接修復のコンポジットレジンを適用した方が良い場合もある。

【CAD/CAMインレーの装着】

本来でればラバーダム防湿をしてからの装着が最も良いが、修復物装着のラバーダム防湿は複数歯に渡って行うため、技術的な難易度と患者の不快感の増加などもあり、本症例のように簡易防湿でも乾燥状態が得られるのであればそちらを採用する場合もある。支台歯と修復物のそれぞれに所定の処理を行ったのち、レジンセメントを用いて接着を行った。CAD/CAMインレーはマテリアルの種類によらずマージンから厚みが出るため、セメント硬化後にファインのバーやホワイトポイントなどを用いて歯質と形態を合わせていく。咬合調整まで終了したのち研磨を行い装着完了とする。

今回IOSの保険診療導入に合わせてSHINING3D DENTALのAoralscan3を使用してCAD/CAMインレーのスキャンを行ったが、スピーディかつ正確に操作することができた。また患者にスキャン画像を見せての説明を行ったところそのビジュアルの高さに患者満足度も非常に高かった。